マーラー交響曲第9番 ニ短調
ブルーノ・ワルター指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1938年1月、ワルターナチスによりオーストリアを追われる直前のライブ録音。当然SP。
私がこの上なく愛する曲であり演奏の一つ。つーか溺愛気味。
先日、独ALBよりの復刻盤を買って、今までに買った盤が5種類を数えたので、ちょっと聴き比べてみる。


EMI(カナダ)1989
最初に私が聴いた盤。今聴くと、少々音が頼りない印象だが、演奏の凄さはそれを超えて圧倒的に伝わってきた。が、決して悪い復刻ではない。いや、むしろ優良な部類。


EMI(日本)1992
カナダ盤に比べて、音に芯がある、というか、しっかりした感じ。微妙に平板になった印象も無くもない。比べるとカナダ盤の方がややデリケート。
この盤には、第5番のアダージェットも収録されているので、ある意味ではお得かも。


DUTTON(英)1996
個人的にはベスト復刻。初めて聴いたときの衝撃は忘れがたい。EMI盤には無い演奏の前後の音も入っているので、恐らくは原盤からの復刻か?
音の生々しさは驚くべき。価格も手頃なので、入手出来るのなら、これを薦めたい。


NAXOS Historical(香港)2002
やや音に古さを感じる。良く言えば素直な復刻。が、これも決して悪いわけではない。現在最も入手はし易いと思われる盤でもある。NAXOSだけに価格も魅力。


ALB(独)2002
かなり良質な復刻。まだ入手したばかりで充分聴き込めてはいないが、ひょっとするとDUTTONに迫るかも? 今後これを取り出す率は増えそうな気がする。ただし、直輸入盤だと、やや値段は高目。


まあ、基本的に、元の録音が良好なので、上記のどれを選んでも水準以上の満足は得られるかと。もはや伝説的な演奏だが、SPだから、と敬遠するのはあまりにも損。というか、SPは良いものは本当に驚くほど音が良いです。私はCDでの復刻盤しか聴けませんがね。1938年のウィーン・フィルの音の魅惑ときたらもう……演奏も最上。
あとは、「オーパス蔵」から復刻されるのを激しく期待。先日1936年の「大地の歌」が出たので、こちらも出してくれるかな? 期待は高まる一方です。