松本清張砂の器」上・下(新潮文庫

で、昨日の今日で今度はこちらを。これまた面白すぎ。一日で上下巻読み切ってしまいますた。

蒲田駅構内にて発見された扼殺死体。前夜の目撃情報によって被害者の東北訛りと「カメダ」なる言葉が手がかりとして浮かぶ。だが捜査は遅々として進まず、捜査本部は解散となる。だが、カメダは人名ではなく地名ではないか、との発想により、捜査は進展の兆しを見せ始めるが……

上下巻の大ボリュームだけに、昨日取り上げた「点と線」以上に捜査の丹念な描写が光ります。天才型探偵ではない普通の警察官である主人公の刑事が、試行錯誤とたゆまぬ努力により一歩一歩真相に近づいてゆく過程は読み応え充分。さらに意外性に満ちた殺人のトリックと、登場人物たちそれぞれの、善意と悪意の思わぬ行き違いと交錯により生じてしまう悲劇。読み終えた瞬間、充実感に思わず大きく、深くため息をついてしまいました。

今まで触れたことの無かったジャンルから、こうして面白い作品に出会えたときの喜びというのは何とも言えないものがありますなあ。これだから本を読むのはやめられません。