魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語 感想 - 闇野神殿の日記
激情版 俗・魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語 感想 - 闇野神殿の日記
の続きです。各論から核心部まで、ネタを交えつつも結構マジ語りしています。
書いていたら長くなりすぎてまとめきれていない面も多いですが。


※この連作記事を徹底加筆修正の上収録し、書き下ろし記事と短編小説を加えた同人誌を冬コミコミケ85)にて発行します。
冬コミ新刊情報「黄泉姫夢幻VI」「まどか感想本」 - 闇野神殿の日記

C85新刊「ほむらちゃんへの愛をこじらせた果ての姿だもの!!」 by 闇野神殿 on pixiv



以下超ネタバレ注意。


本編が終わり、ED「君の銀の庭」が流れたあとのエピローグにおいて、夜の草原で椅子に座ったほむらちゃんの後ろ姿。
その背筋がぴん、とまっすぐ伸びていなかったことが、俺にはなんだかとっても悲しかったんです。
俺はただ、それがとっても悲しかったんです。

いやもうですね。マミさん節全開としか申しようがございませんというかですね。きっちりセンター取ってますしね。本番前の一服の清涼剤と申しましょうか、虚淵節全開になる前の落差を演出するための罠と申しましょうか。でもまあ楽しかったですよね。
冒頭のナイトメア戦の直後、転校してきたほむらちゃんが、さりげなさを装いつつわざとらしくソウルジェムの指輪をアピールするトコのあざと可愛さにいきなりハートを鷲掴みにされたのは言うに及ばずですが! そのいきなり一ヶ月後に飛んで、まどかさんと夜のデート(としか申しようがございませんな)中の幸せそうなほむらちゃんにもう。全シリーズ通してもトップクラスに幸せそうで愛らしいほむらちゃんですよねアレ。

で、仁美のナイトメア出現なわけですが、仁美の恋する乙女っぷりがまたかわいいんですわ。上条ホントお前無神経過ぎだ。さやかちゃんにも言われるし。この辺のさやかちゃんのいい感じに過去にとらわれず、ほろ苦さもあるけど思い出として割り切ることができている感が逆に胸に来るというかですね。冗談めかしたり、でも最後仁美を優しく受け止めてあげてるとことか。さやかちゃんマジ天使(リアル)

で、いよいよ変身シーンですよ奥さん。マミさんのフィギュアスケートみたいなのとか、杏子のなんか無数の手が出たり情熱的に足を踏み鳴らしたりのヒンドゥーっぽい(?)感じのとか(親父が泣くぞ)、さやかちゃんのブレイクダンスというかカポエイラというかアシガラ・スピン・キックというか、ほむらちゃんのなんか動くの慣れてないけどせいいっぱいがんばりました(きゅん)的なのとか(途中ちょっとバランス崩しそうになってたり、足が上がりきってないのがまた)、まどかさんのめっ、めっ、って聞こえてきそうな指差しがかわいいとか何気にソウルジェム頭の上に乗っけてるのがまた。(直後一瞬別のアニメかよ! 的に絵柄が変わるのがw)、変身シーンの可愛くも少し不気味さも交えつつ面白い感じがまたたまんないですよねアレ。
ナイトメア退治の共闘関係とかも面白くて、さやかと杏子の合体技とかアレいいですよね。TV版ではあんなに力倆の差があったのに、お互い信頼して背中を預けあえるようになってるのが感無量といいますか。謎の「魔法少女のお茶会」とか、「ケーキは○○?」「ちーがーう」の流れもかわいい。それにしてもメガほむちゃんの可愛らしさがこれまた全開で、「ケーキは暁美さん?」「ちっちがい、ま、す」って戸惑ってるのもかわいいしべべの「中身」のアレが目の前にきてちょっと顔青くしてるのもかわいい。テーブルの下の足の演技もまたたまんない。最後に「ケーキはまどか?」ってまどかさんに振るとこだけ嬉しそうなのがまたw
これ最初にさやか剣の上に降り立つトコ、みんなは立ったまま降りてるのに、ほむらちゃんだけ降りるときしゃがんでるんですよ! かわいい! あと巨大べべのケーキ丸呑みのあとどっかーんとなるとこも勢いでみんな吹っ飛んでるトコほむらちゃんだけ「ひゃあー」って感じの顔になってるのがかわいい。
結論としてほむらちゃんがあまりにも可愛過ぎて(後の展開を考えると特に)辛い。辛すぎる。
ところであの敵をフタ付きお皿に閉じ込めてまるごとぱっくん行っちゃうのがべべ=なぎさの魔法ってことでいいんでしょうかね。クライマックスの円環連合軍対ホムリリィ使い魔戦でも使ってたし。
ところでべべですが。最初、TVシリーズでのお菓子の魔女よりなんか顔が不気味っぽい感じになっちゃってたと思ってたんですが、いざ動いてみると、むしろ表情豊かで独特の愛嬌がたっぷりでしたね。


さやかちゃんが円環に導かれ、改めてほむらちゃん救出作戦に参加したとき。これまでの偏見から脱し、新たな目でほむらちゃんを見ていったとき、どのようにしてほむらちゃんを理解していったのか、共感していったのか、同情するようになっていったのか、私、とても気になります。
それだけに、TVシリーズでの「最初のボタンの掛け違いによる、いわれない偏見によるほむらちゃんへの反感」から新編ラストにおける「ほむらちゃんが実際にその手で、その意志で引き起こしてしまった事態による必然の敵意」と、どうあってもこの二人は対立関係になってしまうのか、と思うと辛いものを感じずにはいられません。


ほむらちゃんがマミさんのことを「私はあのひとが苦手だった」として語ったこと、私にはそのままほむらちゃん自身について語っているかのように聞こえたのです。この二人、本質的には似た者同士だったのかもしれませんね。
ほむらちゃんが記憶の一部を取り戻し、べべに狙いをつけマミさんの部屋へと訪れたとき、マミさんがふと洩らした弱音に対する言葉。「巴さんはもっと強くて逞しいひとです」この言葉は、それまでほむらちゃんがみてきたマミさんの、相当の頻度で途中死亡したり、心を壊してしまったことを見続けていたことからすると、不思議な気もするのですが、それでも、ここにはほむらちゃんの真情がどこか覗いている気がするのです。

  • 「すげえ、落ちながら戦ってるぜ」「おいやめろ」

それにしても昨年の後編の予告のときより更に凄まじいまでにパワーアップしていたほむらちゃん対マミさんのガチバトル。本当にもうアニメ史上空前と言っていいほどの銃撃戦。乱射されたほむらちゃんの自動小銃の弾丸を狙って発射されるマミさんのマスケット銃、止まった時間が動き出したとき、銃弾同士が弾き合う。発射された数瞬後に空中で静止する銃弾の軌跡が美しくすらある。何度見ても凄すぎる。そしてマミさんのあまりに隙のない強さ。まさにマスケットビット。乱れ撃つぜ! ハロのサポートも要りませんですョ。どうしてアレでループのたびに死んでたのか本当にわけがわからないよ。

ところで、さやかとなぎさがどの程度まで過去ループの記憶を保持しているのかは描かれていませんが、最低限本編時間軸の最終ループの分は、「魔女化後」を含めて持っているはず。べべ=なぎさがマミさんのところに来たのは、やっぱりなぎさにはマミさんをマミってしまった記憶があるんでしょうから、その罪滅ぼしというかお詫びみたいな気持ちがあるのかなあと思ったり。そういえばマミさんの部屋に貼ってあったべべの写真、一枚だけ魔女時代のシャルの姿がありましたね。

  • ほむらちゃんが何か現実の問題に対処しようとするとき、真っ先に助力を求めるのはいつも杏子。

TV版で、ほむらちゃんが杏子のことを「魔法少女にはあなたのような子が相応しい」と言ったことの真意は明らかにされてはいませんが、少なくとも、その時点での杏子の視聴者側に提示されていた表面的な印象のままの、単なる「利己主義者」という意味ではないように思われます。少なくとも、ほむらちゃんはそれまでのループにおいて杏子とは何度も出会っているし、彼女の本質的な部分にもある程度は触れているのではないかとも思われるので。
そう考えれば、ほむらちゃんが常に杏子に助力を求めるのも、単なる消去法ではない積極的な意味を見出すことも出来るかもしれない。たとえほむらちゃん自身が自覚していなくとも。

ほむらちゃんが魔女化したとき、変わり果てたほむらちゃんの姿に、俯きながら、断ち落とされたほむらちゃんの頭、その頬をなでていた杏子の胸の内はいかばかりだったのか。自分をたよってくれ、助力を求められながら、それに応えることができずむざむざとほむらちゃんを破滅するままにさせてしまった無力感か。


この作品においては、多くの場合、程度の差こそあれ、まどかはほむらちゃんに対する情報、想い、そういったものを欠いたままほむらちゃんの想いに対峙する羽目に陥る。そういうとき、当然の結果として、ほむらちゃんの想いをまるで汲むことのできない対応をしてしまう。ほむらちゃんはそのことをわかっているから何も言わないけれど、そのたびに内心深く傷ついているのは作品において表現されている通り。
また、そういうとき、まどかの「容量」は非常に小さい。つまりは、普通の女の子として程度の容量、ということ。ほむらちゃんの想いがあまりに大きく、重いことを差し引いても、ほむらちゃんがその想いの一端をのぞかせただけで、引いてしまうことが多い。
いい例がTV版第8話、QBを蜂の巣にした後でほむらちゃんが初めてまどかに激情をぶつける場面。まどかはほむらちゃんの想いの思いがけない強さに圧倒され、あろうことかさやかを探すことを言い訳にして逃げ出してしまう。それでも、第11話におけるワルプルギスの夜戦直前のほむらちゃんの想いの発露に対しては、戸惑いこそあったものの、少なくとも引くことはしなかった。そして、ぎりぎりまで追い込まれたとき、ようやくまどかの「容量」は極大と呼べるほどに拡大されることになる。
だが、それでもなお、まどかはほむらちゃんの想いに正面から向き合うことをしていない。
以前の感想でも書いたことだけれど、「私の最高の友達」では、ほむらちゃんの想いに対しなお軽すぎると言わざるを得ない。
とはいえ、ほむらちゃんの容量もまた決して大きいものではない。彼女にとっては、まどか一人だけが自分の手の届く精一杯。ただし、そのかわりほむらちゃんのまどかへの想いは、限りなく研ぎ澄まされて、限りなく深い。


ホムリリィ対円環連合軍。本来倒すべきはインキュベーターなわけですが、ほむらちゃんを救う、そしてほむらちゃんのもとへとたどり着くために無数の使い魔たちと戦うことになるわけです。興味深いのは、QBは、あいつらなりにほむらちゃんを救いたい、破滅させたくはないとは思っていたようにも思えること。実験の挙句ソウルジェムをボロボロにして干渉遮断フィールドに閉じ込めるような真似をしたにせよ、QBたちは妙な言い方かもしれないけれど「円環の理に導かれればほむらは救われるんだから」とでも言うような身勝手な理屈ながらもほむらちゃんを破滅させたいとは思っていなかったように見えたんですね。まあだからといってQBのしでかしたことに慈悲はなし。アイエエエ!

やはり最大の盛り上がりどころといえる大決戦。さやかちゃんがなんと人魚の魔女を召喚、自らの意志で、それもそれぞれが自立して戦うという。召喚直後、さやかちゃんがオーケストラの使い魔とともに、剣を指揮棒のように振っていたのは、まさに魔女となった姿もまたいまでは自分の意志のもとにあることを表しているかのよう。
そして続々現れるこれまで戦ってきた魔女の使い魔たち。まさに主力というべきだったおヒゲの使い魔、蹴りでピンチを救ってくれた委員長の魔女の使い魔、まどかの足元でちょろちょろ可愛かった暗闇の魔女の使い魔、まどかたちを乗せてびゅーんと伸びていったのは影の魔女の使い魔? それに落書きの使い魔も! もちろんさやかとなぎさの本来の使い魔たちもいるし。きっとまだ気づけていないいろんな子たちが来てたんだろうなと思うとなんだか胸が熱くなるよう。そう、かつて希望に破れ、絶望を振りまいた者たちが、ふたたび希望の使者としてやってくる……これほど胸の熱くなることがあるだろうか!
そして、鳥型の使い魔に呑まれたさやかを救い出した杏子とさやかの会話が胸にそくそくと迫ってくるようで。本当はすでに死んでいたはずのさやか、だけど、杏子のことがやっぱり心残りだったと告白するさやか。杏子の落としたひと雫の涙。でも、そこから先はいつもの杏子。背中をあずけ合い、最高のコンビネーションで戦う二人。いつしか、人魚の魔女が巨大な杏子の槍を手にしているのを観たとき、「ああ!」と本当にこみ上げてくるものがあったのです。


記憶を取り戻し、マミさんとの戦い、さやかちゃんとの対話を経たほむらちゃんは、まどかのレリーフに取り縋る。このレリーフはほむらちゃんが自分が魔女になっていると気づいたときにも現れ、ほむらちゃんが取り縋った跡が血塗られたようになる。また、まだはっきりとは確認できていないのですが、ほむらちゃんの魔女化自覚後に出現する建造物(さながら、まどかのための神殿のような)の頂点部にこのレリーフが据えられているようでした。

即ち、これはこのとき(記憶の戻った、あるいはQBの実験台として囚われる直前)のほむらちゃんにとって、まどかの存在、まどかへの感情はもはや崇拝にすら近いものになっていたことを示しているように思われます。だから、「こんな偽りの世界に逃げ込んだ者は許せない」「まどかの決意を無駄にしている」と思ってしまうのです。なのに、その直後彼女はまどかから「彼女の本心」を聞いてしまう。そしてほむらちゃんは「それがあなたの本当の気持ちなら、私はなんて馬鹿な間違いを」と洩らしてしまう。これは、彼女が「叛逆」の決意を決めたきっかけのひとつではありますが、それとともに、「彼女がこれまで信じていたものが崩壊した瞬間」でもあるのではないでしょうか。
なのに、ある意味信じていたことの根底が崩壊したような、信じていたことに裏切られたとさえ言えるかもしれないこのときでさえ、ほむらちゃんは自分自身を責めるのです。まどかを止めなかった、自分自身を責めるのです。
そして、最後にまどかに優しくされたことだけに満足して、自ら破滅への道を選んでしまうのです。


余談ですが、私、本編観る前、劇場チラシでこの「それがあなたの本当の気持ちなら〜」のセリフを見たとき、これ、最初まどかさんのセリフかと思ったんですよ。これ、ほむらちゃんを置いて消えてしまったまどかさんの悔恨のセリフかと……思った、あるいは、そうであってほしいと、思ったんですよ……。


魔女化したほむらちゃんに残された最後の自我がいたところは、ほむらちゃんにとってその原点というべき瞬間。まどかの最初の死、あるいは「何度繰り返しても」とまどかとの約束を交わしたあの瞬間、その二つがある意味統合されたかのようなワルプルギスの夜の暴虐の跡。ほむらちゃんの魂を最も強く呪縛した、ある意味彼女の原風景。そこで自らの姿をなかば失いながら、自分の似姿に銃を突きつけさせている。かつてまどかに懇願され、彼女のソウルジェムを撃ち砕いたデザートイーグル。彼女が自分の意思で自らを終わらせようとおもうなら、そのとき使われるものはそれしかないと思っていました。
 かつて、TV版において、ほむらちゃんが杏子の協力を取り付けようよしたとき、彼女は「ワルプルギスの夜を倒したら私は見滝原を去る」と言っていた。「約束の一ヶ月」をすぎたとき、彼女は時間停止の能力を失う。ほむらちゃんにとっては、その力のほとんどを失うのと同義。つまり、彼女はその後生きていく手段を失うということ。見滝原を去る、というのは、その後力尽きる前に自分自身を終わらせるつもりだったのではないかと考えていたし、その当時ほむらちゃんがそう考えていたのだろうとは今でも思っている。そして、そのとき使うのはあのときのデザートイーグルに違いない、と想像しておりました。

ところで、今さらと思われるかもしれませんが、最近気づいたのですが、あのほむらちゃんの魔女は、「永遠に自分を処刑し続ける魔女」なんじゃないでしょうか?
自らに手枷をかけて、ギロチンに曳かれてゆく彼女。あのギロチンにたどり着いたとき、彼女は処刑されるのでしょう。ですが、「自分の結界で自分の造り出したギロチンが、彼女を終わらせることが出来るのか?」そう考えるなら、また、ホムリリィのモチーフの一つであるレコード、ほむらちゃんの本来の能力である限られた範囲での時間遡行による「やり直し」などから考えるならば、おそらく、あのほむらちゃんの魔女は、処刑されると同時に、ふたたび最初の場所に再生し、ギロチンに曳かれてゆき、無限に処刑され続けるのではないでしょうか。正直、これに気づいたとき、胃の辺りがきゅうー、と締め付けられるような気分になったと告白せざるを得ないでしょう。

「もうやめて! 私はこの世界で死ななきゃならないの!」
ほむらちゃんを救うために戦うまどかたちを見ながら叫ぶこの言葉。なんて悲しい言葉なんだろう。もう聞いているだけで辛い言葉。その前にQBに言った、「この世界が私の死に場所になる」というのも、あれはマミさんと杏子が自分を殺してくれる、っていう意味。


さやかちゃんがほむらちゃんに言った「アンタは私たちの敵になるつもり?」という言葉に返したのは「すべての魔獣が滅んだらそれもいいかもね」という言葉。
でもあれ? 魔獣って……人間がいるかぎり無限に出てくる半ば自然現象みたいなもんなのでは? 全て滅ぶとかなんとかそーゆーよーなものでは最初からないのでは……と。
え? それじゃほむらちゃんは……?

誰に理解してもらう必要もない
この気持ちは私だけのもの
まどかのためだけのもの

これを、本当にほむらちゃんが理解を拒んでいると思うのは間違いだろう。
本当は、わかって欲しかったに決まっている。
まどかに、みんなに、自分の気持ちを、自分がどれだけ辛かったのかを。

だけど、誰も彼女を理解してくれなかった。
彼女の想いを。その深さを。そのあまりのささやかさをすら。
だから。

そしてまどかさんのほむらちゃんの問いへの答え「尊いと思うよ、勝手にルールとか破るのは良くないと……思うよ」
『そんなルールなんて、変えてみせる、壊してみせる! さあ、叶えてよ、インキュベーター!』(最終話まどかさん)
あ、あれー?
さあ皆さんお手を拝借。
パパンがパン
さんはい。
今 日 の お 前 が 言 う な ス レ は こ こ で す か (爆)

ところで、再改変後のまどかさんとさやかちゃんの関係ってどうなっているんでしょうかね。三年間アメリカに行っていたことになっているけど、さやかちゃんとは幼馴染であるなら、アメリカ行きの前にもう友達になっていて、帰ってきて再会したということにもなりうるのでは、という気も。


再改変後の世界では、円環連合軍の助けに来てくれた使い魔たちが、帰れなくなったのかあちこちでうろうろしつつも、きっともう人間には無害な存在になっている。ほむらちゃんの使い魔も、杏子が鳥型の使い魔にリンゴをやっていたことからも、おそらく人間に有害ではない。
半分に断ち落とされた月といい、どこか不完全でいびつな改変になっている気がするのは、やはり根本的な力においてまどかさんには及ばないからなのか、それとも。
ただ、基本的にまどかの周囲の人たちは、さやかと杏子は友達として、マミさんとなぎさも再会、おそらくはこれから仲良くなり、まどかは家族のもとで笑顔を見せている。これは、何よりほむらちゃんが望んだこと。自分が幸せになるより、自分がまどかを手に入れるより、ただまどかの幸せを望んだから。まどかの幸せのためには、周囲の人たちも幸せでなくてはならないから。
なのに。たった一人だけ、その幸せの環から外れている者がいる。それが、誰でもない、まどかの幸せだけを望んだ彼女。まどかになかば拒絶され、にもかかわらず「あなたは私の敵になるのかも、それでもあなたの幸せを望むから」と言った彼女。
彼女の望みは、たった一つ。
そのあまりにも大きな力にそぐわないほどささやかな望み。
まどかのそばにいたい。きっと、束縛したいわけでさえない。ただ、まどかの友達として穏やかな日々を送りたい。たった、それだけ。
なのに、宇宙を書き換えるほどの力でさえ、そんなささやかな望みが叶わない。
こんなささやかな望みさえ叶うなら、彼女は誰よりも、世界中の誰よりも幸せになれるというのに。


そこは、悪魔の創った世界
ただひとり愛する少女のために創った世界
愛する少女の幸せのために、みんなが幸せになる世界
ただひとり、少女をもっとも愛する悪魔を除いては。


11.20 01:47追記

  • 以前の感想

魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語 感想 - 闇野神殿の日記
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