D300sの感度自動制御の件
2009-11-03 - 闇野神殿の日記
2009-11-06 - 闇野神殿の日記
さらに続き。
ええと、どうも少なくとも当面はファームアップによる改善はどうやら無さそうとのこと。
また、D3sD300sと同等の制御とのこと。まあ、D3sレベルの高感度耐性のカメラなら、現行の強制ゲインアップ仕様でも、D300sより「マシ」ではあるのでしょうが……(それでも、少しでも低感度で撮りたいという意図は完全に無視される。褒められた仕様ではないことは動かない)

そもそも、自分がどうしてこの旧仕様を必要としているのか。
例えばワンフェス等の室内イベントで展示物の少しでも高品質の記録写真を、それも大量かつ安定して得るためなんですね。95〜100点の数枚の作品ではなく、フラッシュ使用で85点、非使用でも70〜75点程度の安定したクォリティで数百枚をほぼ確実に得るためです。
そのために現行全てのデジタル一眼レフ中最適と信じるシステムがニコンDXフォーマットD90まで)の機種を感度自動制御、スピードライト使用(要デュフューザー使用、ゲイリーフォンの「オリガミ」乃至「スフィア」が適していると判断、個人的にブラケットは縦位置には良くても横位置に難、かつ重量が過剰に増加すること、右手を上にして構えるのに適さないことなどにより没)で使用することなんですね。
適している要因の一は、言うまでもなく感度自動制御。これとほぼ同等(ではないか)と思われる仕様はペンタックスにあるようですが、以後の要因により無し。
感度自動制御の良さは、使っている人なら判ると思いますが、「上限感度」と「下限シャッタースピード」を撮影者が任意で設定できること。例えば「上限ISO1600、下限1/60秒」と設定すれば、シャッタースピードが1/60秒を下回らない限りは設定した最低感度を保ち、1/60秒を下回るような条件となると上限感度の範囲まで感度を上げてゆき、上限に突き当たった時点でシャッタースピードが下がり始めるというものです。つまり、「ここまでの感度なら許せる画質」と、「ここまでのシャッタースピードならブラさない自信がある」を天秤にかけて、自分の使いやすいように設定できる、ということです。

要因の二は、スピードライト(ストロボ)の調光精度の良さ。これは銀塩フィルムカメラ)の時代から定評の高かった部分。現行でも全メーカー中トップを争う性能は実際に使っていて存分に発揮されていると思います。
残念ながらペンタックスはこの面ではむにゃむにゃ……まああんまり評判がよろしいとは言い難いようです。

要因の三はAF。これぞニコンユーザーの特権・3D-トラッキング銀塩時代から研究を積み重ねたというRGB測光によるシーン認識技術により、被写体の「色情報」を記憶してピントを追従させるというまさに次世代のオートフォーカス。これはようやくキヤノンが7Dで赤・白の色情報を捉えるセンサーを搭載し始めた程度。他メーカーが真似するには少なくともあと数年はかかりそうな部分でしょう。
メーカー側としては動体撮影時に使用するのに適しているような告知をしていますが、実は静物撮影にも向いていたりします。特にここでいうようなワンフェス等の屋内イベントの展示物などを撮るのに極めて好適。
例えばピンをフィギュアの顔に合わせ、その後フレーミングを変えて撮影。従来の(他メーカーの)AFではピンが最初の位置で固定されるため、フレーミングを変えた際「コサイン誤差」といってピンがわずかにずれることになります。ところが3D-トラッキングを使用すれば、センサーの範囲内でピンを追いかけてくれるため、このコサイン誤差をほぼ追放することが出来るのです。この使い方に気付いた瞬間から、もう3D-トラッキングの無いカメラを使う気にはなれなくなってしまったものでした。いやマジで。

また、FX(フルサイズ)でなくDX(APS-C)が適している理由は、機材が軽量で済むこと、FXは高くて手が出せない(苦笑)こと以外でも、同画角において被写界深度が深く取れること、最短撮影距離が短く取れることなどがあります。例えばニコンなら上記環境でのマストレンズと考えるVR16-85ミリに相当するFXレンズはVR24-120ミリ。16-85ミリが最短撮影距離38センチであるのに対し、24-120ミリは50センチまでしか寄れません。この差は屋内会場でのブツ撮りではかなり大きいと言っていいでしょう。


で、数度のイベント経験や幾多の思考実験の結果、前回のワンフェスにてD90&16-85ミリ&SB-600+「オリガミ」の机上&脳内の理論において室内イベントに置けるブツ撮り最適解と判断した機材を初投入したのはワンフェスレポ
2009-08-02 - 闇野神殿の日記
でも書きまして、自分の腕が想定外にへっぽこだったこと以外(笑)は自分の考えは正しかったと確信を深めたのでした。わずかにD90での不満点が、縦位置グリップを装着した際の縦位置での操作性の悪さと、11点AFのフレーミングの物足りなさといったところでした。D300sには、この点が改善されることを期待していた訳なんですが……詳しいことは11/3に書いたので省略しますが、肝心かなめの感度自動制御がスカポンになっていたとゆー……

ブツ撮りで、しかもストロボ使用で強制ISO800はありえねーよ……としか申しようがございません。
上記点数で言うなら、従来なら安定して高値安定の85点が得られたものが全て低値安定で75点程度になるくらい。
とてもではないですが、許容できる範囲は大幅に超えていると言わざるを得ないでしょう。
しかも多量の写真を、ストロボのオンオフをある程度頻繁に切り替える以上、操作部は可能な限り少なくしたいところ。具体的にはストロボのオンオフと発光部の縦横調整以外は一切弄りたくないのです。単に面倒とかだけではなく、ミスを可能な限り追放するためです。

ところで、上記は私が自分なりに考えに考え、実地でも試して得た、自分なりの「とっておき」です。
実際この程度で「とっておき」などとは本当に上手い人やベテランさんたちからすれば噴飯ものなのは重々承知ですが、それでも、私なりには「とっておき」なのです。本来なら自分の腹に収めて墓場まで持っていく(ことの取っ掛かり程度にはなる)ようなことです。それをあえてここで公開したのは、これまでのニコンがどれだけ優れたものを作っていたのか、そしてD300sで自分からそれを捨ててしまったのかを少しでも多くの人に知って頂きたいこと。そして、もし「自分もこれは困る」と思って頂いたなら、ぜひニコンに直接それを伝えて頂きたいということです。実際、私以外にも、少なくとも何人かの方はニコンに同じような不満と要望を伝えられていたと聞いています。そういった声が少しでも多くなれば、ニコンが動いてくれる可能性が高くなると思うのです。