毎度おなじみ(?)毒分多めのデジカメ話。
ペンタックス、動画機能搭載のエントリー機「K-x」 - デジカメ Watch Watch
ペンタから発表された新型エントリー機ですが。

ファインダーは視野率約96%、倍率約0.85倍のペンタミラー。AF測距点は5点から11点に増加。中央9点はクロスタイプとなっており、測距点切替でも「11点オート」を選択可能になったが、スーパーインポーズはK-mに引き続き非搭載となっている。

スーパーインポーズはK-mに引き続き非搭載となっている。

もうね。アホかと。バカかと。
ええと、良くご存じない方に説明するなら、ファインダー内で11点ある測距点(ここにある被写体にピントを合わせるセンサーの場所を表す点)の、どの場所でピントを合わせたのか、ファインダー内に表示されない、ということなんですよ。
例えば車でいうなら、「エアコン完備」「カーステレオも載せてます」「ですが車内スペースの関係でスピードメーター省略しました」と言っているようなものだと思ってください。まあカメラなら人が死ぬわけじゃなく、カメラが自分の意図と全然違うところにピントを持ってきても判らないだけで済みますがね。

これは前機種のK-mでも省略されていた部分で、これを知った瞬間、かなりの関心を抱いていたK-mへの興味が一瞬にして完全にゼロになった部分でした。まあK-mの場合はAF自体が中央一点と選択無しの五点オートのみという割り切り(過ぎ)仕様だったのでまだ見逃せた(自分にとっては全く無しだが、まあ自分がスルーすれば良かっただけ)面もあったのかもしれませんが。
しかし、このクラスでフルスペックに近いAFを載せてきたK-xでこれではもうお話にもなりません。ママチャリならスピードメーター無しでもいいかもしれませんが、軽自動車やスクーター以上でスピードメーター無しなんて考えられませんよね。

ピント外しは、後処理ではどうにもならない部分です。だから、撮影時にきちんと合わせておかないとどうしようもありません。どこにピントが来たか撮影時に不明確なK-m、K-xはその点で不合格、論外、お話にならないとしか言いようが無いです。

例えばニコンならD40でもこれを省略するなんてことはしていません。D40D40xD60)は測距点が三点と少なめですが、それでも測距点のマニュアル選択もスーパーインポーズによる表示もきちんと載ってます。実際にファインダー内に見える被写体のどこにピントが合っているのか一目で判ります。ニコンに限らず、他のメーカーのどのカメラでもこれが省略されている機種なんて聞いたこともありません。

まあファインダー表示の中に位置を示す部分があるらしいという話も一応聞いてはいます。(価格.comの書き込み等)メーカーサイトでもファインダー内表示がどうなっているか見られないのでこの件で確かなことは言えませんが。とはいえ、実際にファインダーに映った映像の中にピントを合わせた点が表示されるのと、いちいち下(多分)に視線を写して表示と実画面と照らし合わせるなんてのはとてもじゃないがやってられません。実際、D40でAFの効かないレンズをフォーカスエイド(手でピントを合わせながらセンサーがピントが合ったことを知らせてくれること)を試してみたときでさえ、ファインダー内の下部にある合焦表示と画面をいちいち見比べるなんて面倒この上なかったものです。先のスピードメーターの例えでいうなら天井とか背面に設置されてるようなものですね。
点いたか点いてないかだけの表示でさえそうなら、11点のどこが点いたかを実画面と参照しながらなんてのが使い物になるかなんてのはどうなのか想像がつこうというもの。価格.comでも必死で「問題ない」「中央一点で使うから」「初心者向けだから」とか擁護してる方々がおられますが……

ペンタックス、「K-x」発表会で“コレジャナイロボモデル”を発表 - デジカメ Watch Watch
なんて間の抜けたことやってる間にカメラ自体がコレジャナイカメラになってますよペンタさん。もうペンタはカメラの機能のうちどこを省略していいのか悪いのかの区別が付かなくなっているとしか評価できません。目に付きやすい数字などの部分ではかなりのスペックアップになっているようですが、撮影するという行為の根幹にかかわる肝心の部分がおざなりになっていると言わざるを得ないでしょう。
少なくとも私はこのカメラを人に勧めることは良心にかけて出来ませんわ。仮に、例え他の部分がいかに良くできていようと。